小学校に入る前に対策を!
ワーママが直面する「小1の壁」
妊娠から出産、子育てが始まると時間が過ぎるのはあっという間です。
出産後もお仕事を続ける方は、産休や育休の間に保育園の申込(いわゆる保活)を行い、子どもが保育園に入園するとともに職場復帰します。
日々奮闘しながら子育てと仕事の両立、保育園生活はあっという間で「4月から小学生!?」なんて日がすぐにやってきます。
そして小学校入学を控えて見聞きする言葉が「小1の壁」。保育園から小学校へと環境が変化する中で、特に共働き世帯・ワーキングマザーの皆さんに様々な問題が起こります。
今回は、これから小学校入学をむかえるお子さんを持つワーキングマザーに立ちはだかる「小1の壁」の解説と対策をお届けします。
ワーキングマザーに立ちはだかる「小1の壁」
「小1の壁」とは、共働きをする家庭やワーキングマザーのみなさんが、子どもを保育園から小学校に上げる際に直面する社会的な問題です。
様々な環境の変化により、親も心身ともに負担が大きくなり、仕事と育児を両立させるのが困難になってしまうケースが多く見られます。
以下で小1の壁の具体例と、共働きの家庭やワーキングマザーの皆さんが乗り切るための対策を見ていきましょう。
① 小学生の放課後問題、学童に入るための「学活」も
小学生になったその日から出てくるのが、子どもの「放課後問題」です。
保育園では働く親を前提としているため、延長保育という制度があります。遅くまで働く親のために、夕食を出してくれたり、20時頃まで子どもを預かってくれたりする園もあり、助かっている方も多いでしょう。
しかし小学校では午後、早ければお昼には下校となるため、親が仕事を終えて帰ってくるまでの放課後の過ごし方に頭を悩ませる家庭が多いのです。
小学生になったばかりの子ども一人を家に置いておくのは不安なため、多くの方は学童保育を利用します。しかしこの学童には、保育園と同様に公立と民間のものがあり、利用時間や料金、お迎えや帰宅のルールなども様々です。
なんだか保活みたいだと思った方、いませんか?その通りで、巷では「学活」なる言葉も出てきています。実際に厚生労働省の2019年5月の調査では、学童クラブを利用できなかった児童(いわゆる待機児童)は全国で18,261人という結果になっています。
さらに、せっかく学童に入れても、保育園と比較して利用時間が短いところが多いのも問題です。
厚生労働省の調査では18時半を超えて開所している学童クラブは全体の56.8%とのこと。結果的に、保育園に通っていた頃よりも親は帰宅時間を早めなければならないケースが多いのです。
② 「時短勤務」は多くの企業で保育園卒業まで
正社員で「時短勤務」制度を活用して、保育園のお迎えをしているワーママもいると思います。しかしこの時短勤務制度、多くの会社では「子どもが保育園を卒業するまで」を期限としています。
会社からすれば、いよいよフルタイムで復帰してくれる!と仕事に対する期待が上がる中、ママとしては学童のお迎えのために時間に追われてしまうのです。
③ 「保育園」と「小学校」の違いに戸惑う
保育園から小学校に上がり、子どもが慣れない環境の変化に戸惑うのは想像ができますが、親にも様々な変化が訪れます。
その一つが「時間」の問題で、基本的に仕事の時間と学校の時間は噛み合わないのです。
保育園では保護者会や各種行事、役員活動などは土曜日や夕方遅くから開催されていたため、仕事にほとんど支障が出ません。しかし、小学校に上がった途端、これらの活動は平日の日中に行われるようになるため、仕事の合間を縫い、調整をつけながら参加する必要があります。
その他、子どもの様子が分かりにくいことが挙げられます。
小学校でのお友達との関係や学校での様子、授業はきちんと受けているのか…など、親としての心配は尽きませんよね。しかし、連絡ノートで毎日の様子を教えてくれた保育園とは違い、小学校ではそのようなやりとりはありません。
学校での様子は子どもとの会話でしか把握できないため、仕事に忙しいワーママは話をゆっくり聞く時間が取れずにストレスを感じることも多いようです。
④ 最大のヤマ場?小1の夏休み
そして、小学校に入って数か月が経つと「夏休み問題」が発生します。1か月以上も学校がお休みになるため、共働き世帯ではやはり学童保育が現実的な選択肢になります。
学校がある期間と違うのは、公立学童では基本的にお弁当持参となります。なんとこの期間、家事が一つ増えてしまうのです。
そして子ども自身も、朝早くから夜まで毎日学童に行くことが負担になる可能性があります。毎日楽しく通ってくれればそれに越したことはありませんが、必ずそうとも限らないですよね。
ただでさえ小学校という新しい環境に、親子ともども戸惑いや不安を感じる中、この夏休みが一つの大きな山場として立ちはだかります。
ここを乗り切れずに、結果正社員からパートに切り替える、もしくは「もう仕事は続けられない…」と最悪の場合退職してしまうワーママがいるのです。
「小1の壁」を乗り越える!5つの対策
ここからはワーママが「小1の壁」を乗り越えるための対策を紹介します。これから小学校に上がるお子さんがいる方は、今からできる対策もあるので是非参考にしてください。
① 働き方やキャリアプランを見直す
子どもが小学校に上がる前に、自分の今後の働き方やキャリアに対する考え方を見直してみましょう。
子育ても仕事も、もちろんどちらも大切。そこからもっと自分の本音を覗いてみると、どうでしょうか?子どもの成長をもっと見守りたい、もっと仕事でキャリアアップしたい…人それぞれ想いがあると思います。
そのために、場合によっては正社員からパートに働き方を変える、時間の自由がきく会社に転職するといったことも考えられます。収入は減ったけど、子どもと過ごす時間が増えてよかったという人もいます。
旦那さんにも自分の想いを伝えて、自分達がどうしていきたいのか、そのためにどうすれば良いのかを一緒に話し合いましょう。
② 親同士のつながりを作る
小学校に向けて、早い段階から親同士のつながりを作ると良いでしょう。
保育園で同じ学区の家族と今から仲良くなれれば、子どもも友達ができ、親も同じ悩みや困り事を話せる相手ができて心強いです。いざという時に話やお願いごとができる相手がいるのは大きな助けになりますよ。
③ 実家を頼る
実家が近くにあれば、子どもが小学校に上がった時のことを相談してみるのも良いでしょう。
自分達の仕事の都合で親に頼むのは気が引けるものですが、案外理解を示してくれることも多いものです。いざという時はお互い様、実家とは節度を保って良好な関係を築いておきましょう。
④ 外部のサービスを検討する
学童以外にも、子どもを見てくれるサービスはいくつかあります。
・習い事
厳密には子どもの面倒を見てもらうわけではありませんが、習い事は候補の1つになります。
というのも、子どももずっと学童にいると飽きてしまったり、あまり仲良くない友達と毎日一緒でストレスがたまったりすることもあるからです。
週に1回でも習い事があれば気分転換にもなり、子どもも充実して過ごせるでしょう。費用の問題はありますが、本人が興味のある習い事があれば検討してみましょう。
・ファミリーサポートセンター
自治体にはファミリーサポートという子育て世帯をサポートする仕組みがあります。
具体的には、小学校や学童、習い事への送迎、親が通院やリフレッシュするための一時的な預かりなどをしてくれます。30分や1時間単位で利用料を支払う形が多いようです。
いざ必要となった時に慌てないように、今のうちから利用方法などを確認しておくと良いでしょう。
・家事代行サービス
忙しくて家のことに手が回らない…そんな時は家事代行サービスをお願いするのも手です。
例えば週に1回、掃除や夕食の準備をお願いしておくだけでも、気持ちや体の負担は違うでしょう。心の余裕も出来て、子どもと有意義な時間が過ごせるのであれば、お願いする価値はあります。
⑤ 子どもと適度なコミュニケーション、距離感を持つ
最後に、小学生になったお子さんとの接し方を考えていきましょう。学校での様子を知るために、話す時間を取ることも大事ですが、逆に適度な距離感を持つことも必要かもしれません。
小学生にもなると、子どもは自分でできることが増え、それとともに自我も出てきます。つい心配で手や口を出してしまう事もあると思いますが、本人の意思や考えを尊重することも忘れないようにしたいです。
身の回りのことを少しずつ自分でできるようになってきた子どもをたくましく思いませんか?まだまだ親のサポートが必要なことは多いですが、子どもが自分でやる仕組みやルールを決めて、時には信頼してまかせてみるのも良いのでは。
さいごに
今回は子どもが小学校に入った時に立ちはだかる「小1の壁」をご紹介しました。これから小学校入学を迎えるお子さんがいる方は、今のうちから旦那さんやご両親と話し合ってみましょう。
大切なのは、一人で抱え込まないことです。仕事でも家庭でも、必要以上に自分を犠牲にせずに、あなたらしく過ごせるよう、家族みんなで乗り切れる体制を作っていきましょう。
参考文献
令和元年(2019年) 放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況 – 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000189556_00003.html