職場の人間関係がストレス…
対策は「気にしない」「深入りしない」こと
多くの人が仕事をする上で避けて通れないもの、それは人間関係。会社勤めをしている方であれば、多かれ少なれ、自分以外の他人と協調しながら仕事を進める必要があります。
気の合う仲間とストレスなく仕事が進められるのが理想ですが、現実はなかなか上手くいきません。エン・ジャパンが実施した職場の人間関係に関する調査では、実に84%の人が「今までの職場で人間関係に難しさを感じたことがある」と回答しています。
また、転職の経験がある人の中で「人間関係が転職のきっかけになったことがある」と回答した人は53%というデータも。人生の転機ともなる転職のきっかけの半分以上が、職場の人間関係にあるとは驚きです。
今回は、仕事を進める上で欠かせない「職場の人間関係」とそのストレスに焦点をあてて、ちょっとした考え方で気持ちが楽になる方法をお伝えします。
職場の人間関係は主に上司・同僚・部下の3パターン
さて、職場の人間関係とひと言で言っても様々ですが、仕事をする上での役割や関係性で見ると大きく3つに分けられます。
一つは上司や先輩など、自分より立場が上の人。二つ目は同僚で、社内で同じ地位や職位の人達のこと。最後の三つ目は後輩になります。先ほどの調査では具体的に「誰との人間関係に難しさを感じたか」も回答されています。
「今までの職場で、人間関係に難しさを感じたことがある」と回答した方に伺います。誰との人間関係に難しさを感じましたか?
- 先輩39%
- 同僚22%
- 直属上司14%
- 後輩10%
やはり多くの人は自分より目上の人に対する人間関係、やり取りの難しさにストレスを感じているようです。
そこでさらに調査結果を詳しく見てみましょう。「直属の上司・先輩・経営層との人間関係に難しさを感じた理由」についても回答が出ています。上位を以下でご紹介します。
「直属の上司・先輩・経営層」との人間関係に難しさを感じた理由を教えてください。(複数回答可)
- 威圧的に感じる 50%
- 気分に浮き沈みがある 48%
- 指示に一貫性がない 44%
- 人柄が信頼できない 40%
- 評価が公平、公正でない 35%
私も同じ経験がある、または今まさしくそ悩んでいるという人も多いのではないでしょうか(それと同時に自分が後輩からそう思われていると考えるとゾッとしますが…)。
この結果を踏まえ、現在悩みを抱えている人のために、冷静に人間関係を見直してストレスフリーに近づくための考え方をご紹介します。
人間関係のストレスを感じたらチェックする3つのポイント
それでは、職場で感じる人間関係の悩み、ストレスに対する対処法を考えていきましょう。具体的には、あなたが感じている人間関係の悩み、ストレスを以下の3つのポイントから見直してみます。
- 1. 業務に支障が出る問題か、そうでないか
- 2. 感情的に判断していないか
- 3. 自分で対応できる問題か、そうでないか
それぞれ確認してみましょう。
業務に支障が出る問題か、そうでないか
まず、あなたが直面している人間関係の悩みが、業務に支障が出る問題かどうかを冷静に確認しましょう。もし、業務と関係ないものであれば「気にしない」のが一番の解決策です。
例えば、先ほどのアンケート結果でもあった「上司の態度が威圧的に感じる」「気分にムラがある」「評価が公平・公正でない」といった悩みは、直接業務に影響が出るものではないため、気にするだけ損なのです。
「なんでこの人は話をしっかりしてくれないんだ」「機嫌が悪くてこっちまで嫌になる」などといって、自分の感情を相手に振り回されないようにしましょう。
いやいや、上司が怖い、機嫌が悪くて話しかけられないから相談もできないし、仕事が進まないんだ!そんな風に思う方もいるかもしれません。その気持ちはとてもよく分かりますが、ここは落ち着いて考えましょう。
話しかけづらくても、仕事であれば話さなければいけない状況はたくさんあります。厳しい言い方かもしれませんが、「上司が怖い、機嫌が悪いから仕事が進みません」という話は通じません。
極端に言えば、上司の態度や機嫌など関係ないのです。そんなことは気にしないで、あなたがすべきことを淡々と行うべきなのです。
もちろん実際には、ある程度スムーズに仕事を進めるために、上司が忙しそうな時には話しかけない、機嫌の良さそうな時に相談するなどの工夫は必要ですし、きっとあなたも日々気を使っていることでしょう。
あなたがそういった努力をしてもなお、全く話を聞いてくれなかったり、業務に悪影響を及ぼしたりするのであれば、それは「業務上のトラブル」としてさらに上の責任者なりに相談しましょう。
例えば、指示が曖昧で作業に取り掛かれなければ、分からない点を整理して質問する、指示に一貫性がなければその点について尋ねてみる、などです。
業務上のトラブルは、職場の別の人に相談や依頼することで、自分の中でため込まないのがコツです。
感情的に判断していないか
ポイント2つ目は、感情的に物事を判断していないかどうかです。ストレスを感じている時というは、感情を上手くコントロールできていないことが多いものです。
上司の態度や機嫌が悪いと、あなた自身もムッとしたり、イラッとしたりしていませんか?そんな人の態度に自分の感情が振り回されるのは本当にもったいないですし、あなたが疲れるだけです。
上司とあなたは、ただ仕事を進める上で必要なコミュニケーションを取れればよい、ドライな関係です。相手の感情に深入りせずに無視してしまうのが一番。いつも変わらぬ態度で接しましょう。
10秒で冷静になる方法
冷静になるコツは、例えば上司の機嫌が悪かったら「この人は機嫌が悪い人なのだなあ」と、心の中で唱えることです。だまされたと思って、「この人は○○なのだな」と心の中で唱えてみてください。感情を入れずに、事実だけを認識することで、冷静になる事ができます(決して声には出さないように!)。
自分で対応できる問題か、そうでないか
最後のポイントは、あなたの抱えている人間関係の悩みが自分で対応できる問題かどうかです。ここで大切な考え方を一つお伝えします。「自分は変えられるが、他人は変えられない」ということです。
先ほどお伝えしたように、自分の感情や態度、行動は自分の努力でコントロールできます。しかし、他人の感情や態度、行動は基本的にはコントロールできません。
態度が高圧的な上司に「そんな高圧的に言わないでください」と頼んで、相手が態度を変えるでしょうか?あなたが聞きたくもない会社のうわさ話をする同僚達に「そんな話しないでよ」と言って、やめるでしょうか?
もしあなたが働きかけて、相手の態度が改まるのであればしめたものです。しかし現実は、そううまくはいかないでしょう(そもそも伝えるのも難しいですよね…)。
自分でどうにもならない問題だと判断したら、「気にしない」、「深入りしない」のが一番です。
上司のご機嫌に振り回されず、必要最低限のコミュニケーションで仕事に徹する。興味のないうわさ話に夢中な同僚達がいたら、席を外して距離を取る、というわけです。
また、少し毛色が違いますが、パワハラもこのケースに当たります。相手が変わることは望めないので、今すぐあなたが信頼できる人にヘルプを出しましょう。
転職をする前にできることがある
他人に振り回されて、悩みやストレスが極限まで溜まってしまうと、ある一つの行動が起こります。それが「自分の行動を変える」の一番極端なケース、「転職」です。自分がその職場を去ることで人間関係の解決を図ろうというわけです。
しかし、考えてみれば転職先の人たちも「他人」で、あなたの言う通りには動きません。「自分は変えられるが、他人は変えられない」。これに気が付かない限り、人間関係の問題を理由に転職をしても、次の職場でまた同じ壁にぶつかります。
逆に言えば、「気にしない」「深入りしない」のスルースキルを身に着けられれば、ある程度どこの職場でも人間関係に惑わされずに仕事ができるでしょう。
仕事だけのつながりである職場の人間関係で、あなたがストレスを抱え込むのはあなたの人生の中で非常にもったいないことです。
職場の人間関係に疲れたという人は、自分自身のためにも「気にしない」「深入りしない」を今日から実践してみてください。
参考文献
1万人に聞く「職場の人間関係」意識調査 ―『エン転職』ユーザーアンケート― エン・ジャパン株式会社